世界の透析事情2 ブラジル

ブラジル連邦共和国

 ブラジル連邦共和国、通称ブラジルは南アメリカに位置する連邦共和制国家です。南米大陸で最大の面積を誇り、チリとエクアドルを除く南米10ヶ国と国境を接しています。南米大陸最大の面積を擁する国家であると同時に、最大の領土、人口を擁する国家で、面積は日本の約22.5倍(世界第5位)にあたり、人口は約1億9800万人(世界第5位)となっています。ポルトガルの植民地時代が長かったことから、公用語としてポルトガル語が使用されています。

 ブラジルまでは日本からの直行便がなく、米国もしくは欧州・中近東で乗り継ぐ必要があります。私は伊丹空港から出発して東回りでブラジルに入りましたが、伊丹 → 成田空港(約1時間30分)、成田空港 → 米国・ニューヨーク(約12時間30分)、米国・ニューヨーク → ブラジル・サンパウロ(約12時間)と、飛行機に搭乗している時間だけでも実に26時間ほどを要し、乗継のための手続きや空港での待ち時間を入れると、およそ片道40時間を要しました(米国では9.11事件以降、セキュリティーチェックがかなり強化されており、近年国際便の乗継手続きにかなりの時間を要することがあるため、時間に余裕を持って乗継便を押さえています)。ちなみに、帰りは隣国アルゼンチンから帰国したため、さらに乗継が増え、帰国に50時間を要しました…。

 

@ Clinica CINE(写真1〜3)

Clinica CINEは、患者数約250名の大規模透析クリニックです。透析スケジュールは朝6時から1クール目を開始し、1日3クール施行しています。透析は椅子型が主流で、ベッド型は皆無です。殆どの透析装置が欧州製ですが、日本の透析装置も一部使用されています。透析は1回あたり150レアル(1レアル≒50円)(2010年)であり、全額政府負担です。透析条件はQD:500mL/min、QB:300〜400mL/min、透析時間:4h、Kt/v:1.4以上を目標とすることが国内標準となっています。

 

A Clinica CNTT(写真4〜7)

 Clinica CNTTは、透析患者数250名、CAPD患者数80名ほどのこちらも大規模透析クリニックです。透析スケジュールはClinica CINEと同様です。

両施設ともダイアライザはリユース(再使用)されており、洗浄消毒方法が専用装置による洗浄消毒か手作業洗浄消毒かでリユース回数が異なります。ブラジル政府の規定により、専用装置による洗浄消毒の場合は20回/1本、手作業の場合は12回/1本ほどリユースされています。

 

南米全体ではメタボリック症候群患者が増加しており、糖尿病性腎症から透析導入となるケースが最も多いですが、ブラジル国内での報告では統計上それほど多くありません。これに関しては、実際に患者数が少ないのではなく、末期腎不全の診断または治療が十分に行われていない可能性が指摘されています1)。ブラジルの食事はやや味が濃い目で非常に美味しいですが、殆どの料理に塩がしっかりときかされており、ケーキやアイスクリーム、チョコレートなどは、甘いもの好きな私でもあまりにも甘すぎて口にすることができないレベルです(甘味成分の正体は人工甘味料です)。ブラジルを旅行される場合、食事からの塩分摂取過多による体重増加に注意を払う必要があります。現地の医療スタッフに透析間の平均的な体重増加および除水量を尋ねたところ、体重増加は平均4kg、除水は1回4時間透析で約4Lが平均であるとのことでした。

 文献

1)    大橋温、加藤明彦:各国の透析・腎移植事情(中南米). 臨床透析 23:233-238, 2007

 (透析室内の写真は、プライバシー保護のため画像処理をしています。)


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写真1 サンパウロ市内の様子

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写真2 Clinica CINEの様子

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写真3 Clinica CINEでの透析風景

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写真4 Clinica CNTTの外観

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写真5 Clinica CNTTでの透析風景

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写真6 日本では使用されないオゾン消毒システム

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写真7 ダイアライザーのリユース作業風景

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